DIN 65151の基本

1969年にGerhald Junker氏が発表した、ボルトファスナーの横方向振動下での自己緩み傾向の理論を、ドイツ自動車エンジニア協会が認定し、DIN 65151として規定する実証試験規格としました。

Gerhald Junker氏の理論
illust ボルトジョイントに横方向振動を負荷した時の締結に関蓮する要素。

a:   振動変移量(振幅)
Q 剪断力
V 締結力(面圧)

illust2 振動中のネジに掛かる力の模式図

ボルトジョイントを緩めることになる、内部に生じる緩めトルクの発生の原因となる内部摩擦の減少が出現するのに十分な横方向の変移量がある場合にのみ、自己緩みが発生する。 剪断力から、理論式Q=L*tan(-ψ)=-L*tanψにより緩みトルクQを計算します。

illust3 Gernhald Junkerの基本的試験装置構成

振動発生装置(振幅・振動数の任意変更ができるもの)と試験ファスナー固定治具に振幅Sa、軸力FV、剪断力FQを計測するセンサーと、それらの演算表示装置(コンピューターと適切なソフトウェアー)で構成されなければなりません。


 

 DIN 65151の規定する代表的なテストスタンドの構成図 portable


@ 偏芯タペット    A ピストンロッド
B 剪断力計測装置 C 接続プレート
D 試験ボルト E パス測定装置
F インサート G ネジ部トルク/軸力計測装置

junker test bench 旧式の一般的なユンカー振動試験機です。

振幅は@の偏芯タペットとAピストンロッドの接続位置を変えて変更します。 そのため、時間と手間が掛かり正確な振幅に調整するのは装置への慣れと技術が必要です。

振動方向と装置シャーシーが水平と同じため、高い振動数や大きな振幅の試験は、その影響が多少あり注意が必要です。

DIN 65151では、ファスナーに与える振動数や横方向の変移量(以下、振幅と呼びます。)は規定していません。 そのため使用される振動数は3とか3.5Hzの低い振動で、振幅もまちまちでした。 また、一つのボルトサイズの試験結果で、同じタイプの緩み止め防止装置のボルトのファスナーにその結果が流用できました。

DIN 65151の問題点
緩み止め防止装置の付いたボルトファスナーの相対的な性能評価が難しく、ファスナーユーザーにとって、ユーザーの実際のアプリケーションに緩み止め防止装置が有効であるかどうかの判定が難しいという問題が厳然としてありました。



DIN 65151の不備を補い、さらに厳格な試験規格がDIN 25201です。